沖縄の築30年RCリノベ。資産価値を守る5つの必須改修ポイント

【OREXブログ編集部】

沖縄でマイホームを探したり、リノベーションを検討したりする際、必ずと言っていいほど出会うのが築30年以上の鉄筋コンクリート(RC)造住宅です。

一般的に木造住宅の寿命が30年程度と言われるのに対し、堅牢なRC造が多い沖縄では、築30年はまだまだ現役です。しかし、人間で言えば働き盛りのこの時期は、建物にとってはメンテナンスの分岐点でもあります。

構造は大丈夫なのか?配管は見えないけれど腐食していないか?

こうした不安を抱えたままリノベーションを進めると、見た目はきれいになっても、数年後に水漏れやコンクリートの剥離(爆裂)といった重大なトラブルに見舞われるリスクがあります。

この記事では、沖縄の築30年以上のRC物件をリノベーションする際、見た目のデザイン以上に優先すべき5つの必須改修ポイントについて、専門的な視点から具体的に解説します。

リノベーションを検討する際、最初に確認すべきは建物の骨組みである構造の安全性です。ここで築30年(1990年代建築)という年代が大きな意味を持ちます。

1981年の新耐震基準をクリアしている安心感

日本の建築基準法は1981年(昭和56年)に大きく改正されました。これより前の建物は旧耐震基準、後の建物は新耐震基準と呼ばれ、震度6強~7程度の地震に対する安全性が大きく異なります。

現在、市場に出回っている築45年以上の物件は旧耐震のリスクがありますが、築30年程度の物件であれば、この新耐震基準を確実にクリアしています。

つまり、耐震補強という多額の費用がかかる工事を心配する必要がなく、その分の予算を内装や設備のグレードアップに回せるのが、この年代の物件を選ぶ最大のメリットです。

沖縄の大敵である塩害とコンクリートの中性化

耐震性はクリアしていても、油断できないのが沖縄特有の塩害です。

30年という歳月は、海風に含まれる塩分がコンクリート内部に浸透し、中の鉄筋を錆びさせるのに十分な時間です。鉄筋が錆びて膨張すると、コンクリートを内側から押し出し、ひび割れや剥落(爆裂現象)を引き起こします。

リノベーションの際は、内装工事を始める前に、必ず外壁や躯体のコンクリート診断を行い、ひび割れの補修や、鉄筋の防錆処理を最優先で行う必要があります。

▲コンクリートの中性化が進行し、爆裂現象が進んだRC建築物


築30年のリノベーションで最もトラブルになりやすいのが、床下や壁の中に隠れている水道管(給水管・排水管)です。

金属管の寿命と赤水リスク

1990年代前半までの住宅では、給水管に亜鉛メッキ鋼管(鉄管)が使われているケースが多くあります。これらの金属管の寿命は約20年~30年と言われており、築30年の時点では管の内部に錆(サビ)が発生している可能性が非常に高いです。

そのまま使い続けると、蛇口から赤い水が出る赤水や、錆コブによる詰まり、最悪の場合はピンホール(小さな穴)による水漏れ事故に繋がります。

リノベ時は全交換が基本

床を剥がして行うフルリノベーションのタイミングは、配管を刷新する絶好の機会です。

現在主流となっている架橋ポリエチレン管やポリブテン管といった樹脂製の配管にすべて交換することをお勧めします。これらは錆びることがなく、耐久性も高いため、次の30年を安心して暮らすための投資となります。

見えない部分だからと予算を削って古い配管を再利用するのは、将来的に床を再度解体することになりかねない、リスクの高い選択です。


30年前と現在では、家庭内で使用する電化製品の数と消費電力が大きく異なります。

30年前とは違う家電の使用量

築30年の住宅では、契約アンペア数が低かったり、コンセントの数が極端に少なかったりすることがよくあります。

当時は想定されていなかった、IHクッキングヒーター、食器洗い乾燥機、浴室暖房乾燥機、大型のエアコン、ドラム式洗濯機などを同時に使うと、すぐにブレーカーが落ちてしまうことがあります。

専用回路の増設と分電盤の交換

快適なデジタルライフを送るためには、リノベーション時に電気配線の計画を見直すことが不可欠です。

  1. 幹線の張り替え: 電柱から引き込む電気容量を大きくする工事。
  2. 専用回路の増設: キッチンや洗面所など、消費電力の大きい家電を使う場所には、専用のコンセント回路を引く。
  3. 分電盤の交換: ブレーカーの数(回路数)を増やし、漏電対策も最新のものにする。

これらは壁の中に配線を通す工事が必要なため、内装工事とセットで行うのが最も効率的です。


RC造は夏暑く、冬寒い。これは、築年数の古いコンクリート住宅にお住まいの方からよく聞く悩みです。

昔のRC造は夏暑く、冬寒い

コンクリートは熱を蓄える性質(蓄熱性)があり、日中に太陽の熱をたっぷり吸い込むと、夜になっても熱を放出し続けます。また、30年前の住宅は現在の省エネ基準に比べて断熱材が薄かったり、そもそも入っていなかったりすることも珍しくありません。

さらに、断熱不足は結露の原因となり、沖縄の悩みであるカビの発生に直結します。

内断熱と遮熱塗料の組み合わせ

快適な室内環境を作るためには、断熱改修が効果的です。

  1. 内断熱: 室内側の壁や天井に、発泡ウレタンなどの断熱材を施工し、外気の熱を遮断する。
  2. 遮熱塗装: 外壁や屋上に、太陽光を反射する塗料を塗り、躯体が熱を持つのを防ぐ。
  3. 窓の断熱: アルミサッシよりも熱を伝えにくい樹脂サッシへの交換や、内窓(二重窓)の設置。

これらの対策を行うことで、冷房効率が劇的に向上し、電気代の節約とカビの抑制に繋がります。


リビングを広くしたい、キッチンを対面にしたいといった間取り変更の希望は、建物の構造形式によって実現できるかどうかが決まります。

壊せる壁と、壊せない壁

RC造には大きく分けて2つの構造があります。

  • ラーメン構造: 柱と梁(はり)で建物を支える構造。壁の多くは取り外し可能で、間取り変更の自由度が高い。
  • 壁式構造: 壁そのもので建物を支える構造。低層マンションや戸建てに多い。耐力壁と呼ばれる分厚い壁は絶対に撤去できないため、間取り変更に制限がある。

購入前の構造確認が重要

ご自宅や購入予定の物件がどちらの構造かによって、リノベーションのプランは大きく変わります。

壁を壊して大空間を作りたいと思っていても、その壁が構造壁であれば実現できません。物件選びやプランニングの初期段階で、専門家に図面を見てもらい、どの壁が撤去可能かを正確に把握することが重要です。


築30年のRC住宅は、適切なメンテナンスとアップデートを行えば、さらに30年、40年と住み続けることができる貴重な資産です。

  1. 構造のケア(塩害対策)
  2. 配管の更新(脱・赤水)
  3. 電気の増強(現代化)
  4. 断熱の強化(快適化)
  5. 構造の理解(間取り)

この5つのポイントを押さえたリノベーションは、単に内装を新しくするだけでなく、住まいの機能と寿命を根本から再生させる作業です。

OREXでは、沖縄の気候風土とRC建築を知り尽くした専門家が、建物の診断からプランニングまでトータルでサポートいたします。築30年の節目を、理想の暮らしへのスタートラインにするために、ぜひお気軽にご相談ください。

OREX 住宅リノベーションページ:https://renov.orex.okinawa/residential/

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