憧れの空間を現実に。リノベで失敗しない「4つの手順」

【OREXブログ編集部】

「お気に入りのカフェのようなリビングにしたい」

「映画で見た、家族が集まるアイランドキッチンが欲しい」

リノベーションを考えるとき、誰もがそうした「憧れの空間」を思い描くものです。しかし、その憧れが漠然としたまま工事を進めてしまうと、「デザインは良いけれど使いにくい」「想像していた雰囲気と違う」といった失敗につながることがあります。

この記事では、あなたの「憧れ」を単なる夢で終わらせず、毎日を豊かにする現実の空間として実現するために不可欠な、4つの重要なステップを、専門家の視点から一つずつ解説します。


目次

  1. ステップ1:「なぜ」を深掘りする(コンセプトの明確化)
  2. ステップ2:「できること」を知る(現状と制約の把握)
  3. ステップ3:「どう伝えるか」を準備する(イメージの具体化)
  4. ステップ4:「誰と創るか」を選ぶ(パートナー選び)

リノベーションの設計図を描き始める前に、まず行うべき最も重要な作業がコンセプトの明確化です。これは「どんなデザインにしたいか」の前に、「なぜ、そうしたいのか」を自問自答するプロセスです。

「何をしたいか」をリストアップする

憧れの空間は、多くの場合「憧れの暮らし」と直結しています。

例えば、「広いアイランドキッチンが欲しい」という憧れがあるとします。

その理由は「一人で黙々と料理するため」でしょうか? それとも「子供と一緒にお菓子作りをしたいから」でしょうか?

前者であれば、調理に集中できる壁付けのキッチンの方が効率的かもしれません。後者であれば、複数人で囲めるアイランドキッチンが最適です。

まずは、新しい空間で「誰が」「何を」「どのように」しているかを、箇条書きで具体的にリストアップしてみてください。

  • (例)週末は友人を招いて、5〜6人で食卓を囲みたい
  • (例)リビングで、プロジェクターを使って映画を大画面で見たい
  • (例)在宅ワークに集中できる、独立した書斎が欲しい
  • (例)沖縄の光と風を感じながら、バルコニーで朝食をとりたい

このリストが、リノベーションの設計図の核となります。

「憧れ」の理由を言葉にする

なぜその空間に憧れるのか、その理由を言葉にすることも重要です。

例えば「ホテルのような洗面所」に憧れる場合、その理由は「生活感のないスッキリしたデザイン」かもしれませんし、「二人並んで使える広い鏡とカウンター」という機能性かもしれません。

理由が明確になれば、設計士も「では、収納はすべて鏡の裏に隠しましょう」「カウンターは幅1.5m確保しましょう」と、具体的な提案が可能になります。


ステップ1で夢を明確にしたら、次は現実を把握します。夢を実現するためには、乗り越えるべき制約を正確に知る必要があります。

物件の制約:沖縄のRC造と間取り変更

沖縄の住宅は、台風対策などから鉄筋コンクリート(RC)造のマンションや戸建てが非常に多いのが特徴です。

RC造の建物には、大きく分けて2種類の壁があります。

  1. 構造壁:建物を支えている、コンクリートの主要な壁です。この壁は原則として撤去できません。
  2. 間仕切り壁:コンクリートブロックや軽量鉄骨で造られた、部屋を仕切るためだけの壁です。これは撤去・移動が可能です。

「リビングと和室を繋げて、広いLDKにしたい」という憧れも、その間の壁が構造壁であれば実現できません。

まず、リノベーションを検討する物件の図面を見て、どれが動かせない壁なのかを把握することが重要です(専門家による診断が必要です)。

沖縄特有の制約:湿気・塩害・台風

憧れのデザインを実現しても、沖縄の気候に適合していなければ、数年で失敗につながる可能性があります。

  • 湿気・カビ対策:沖縄は日本で最も高温多湿な地域の一つです。特にRC造の住宅は気密性が高い反面、湿気がこもりやすく、結露やカビが発生しやすいという弱点があります。デザインだけでなく、断熱材を壁の内側にしっかり施工する、換気計画を見直す、調湿建材(珪藻土やエコカラットなど)をウォークインクローゼットや北側の部屋に採用するといった、見えない部分の対策が快適な暮らしの鍵となります。
  • 塩害・台風対策:海沿いの地域でなくても、沖縄は全域が塩害地域と言えます。また、台風時の強風と横殴りの雨は、窓やサッシから雨漏りを引き起こす原因になります。「大きな窓で開放的な空間に」という憧れを実現するには、その窓が台風の風圧に耐えられるか、塩害に強い素材か、高い水密性・気密性を持つかといった、沖縄ならではの視点での製品選びが不可欠です。

予算の制約:スケルトンと居抜きの違い

リノベーション費用は、物件の状態によって大きく変動します。

  • スケルトン(フルリノベーション):床・壁・天井をすべて解体し、コンクリートの骨組み(躯体)の状態に戻してから行うリノベーションです。
    • メリット: 間取りや配管(水回り)をゼロから自由に設計できます。
    • デメリット: 工事の規模が大きくなるため、費用は最も高額になります。
  • 居抜き(表層リノベーション):既存の間取りや設備(キッチン、浴室など)を活かしつつ、壁紙や床材の張り替え、一部の設備交換などを行うリノベーションです。
    • メリット: 既存のものを再利用するため、費用を抑えられます。
    • デメリット: 既存の間取りや配管に縛られるため、設計の自由度は低くなります。

憧れの実現にはスケルトンが必要なのか、それとも居抜きの範囲で工夫できるのか。この見極めも重要です。


ステップ1(夢)とステップ2(現実)が整理できたら、それを設計のパートナーに伝える準備をします。「言った、言わない」の認識ズレは、リノベーション失敗の大きな原因です。

写真(イメージ図)を集める

憧れの空間を言葉だけで伝えるのは非常に困難です。「シンプルで温かみのある感じ」と言っても、人によって解釈は様々です。

Instagram、Pinterest、雑誌の切り抜きなどで、自分の「好き」に近い空間の写真をできるだけ多く集めましょう。これは、設計士と共通言語を持つための最も有効なツールです。

「なぜ好きか」を伝える準備

集めた写真を見ながら、「なぜ、自分はこの写真が好きなのか」を分析してみてください。

  • (例)このキッチンの写真が好きなのは、「ステンレスの天板」が理由か? それとも「窓から光が差し込む明るい雰囲気」が理由か?

もし理由が「明るい雰囲気」なら、高価なステンレス天板を採用しなくても、窓の配置や照明計画を工夫することで、憧れの空間を実現できるかもしれません。

写真を見せながら「この写真の、この部分が好きだ」と具体的に伝えることが、認識のズレを防ぎます。


最後のステップは、あなたの「夢」と「現実」を理解し、最高の形に翻訳してくれるリノベーション会社(パートナー)を選ぶことです。

「得意」なテイストが合うか

リノベーション会社には、それぞれ「得意なデザイン」のテイストがあります。

  • 無垢材や自然素材を使った、ナチュラルなデザインが得意な会社
  • コンクリート打ちっ放しや鉄骨を活かした、インダストリアルなデザインが得意な会社
  • ホテルライクでモダンな、高級感のあるデザインが得意な会社

施工事例(Works)を見て、その会社のテイストが、自分の憧れる空間(ステップ3で集めた写真)と近いかどうかを確認することは非常に重要です。

「制約」への理解と提案力があるか

デザインのテイストが合うことと同時に、ステップ2で挙げた沖縄特有の制約に対する専門知識と提案力があるかどうかも見極めましょう。

  • 沖縄のRC造住宅の構造を熟知しているか?
  • 湿気やカビ対策について、具体的な工法(断熱、換気、建材)を提案してくれるか?
  • 塩害や台風に耐えうる、サッシや外壁材の知識を持っているか?

憧れのデザインを実現しつつ、沖縄で快適に暮らすための「見えない部分」の技術力こそ、パートナー選びの鍵となります。


「憧れの空間」を実現するリノベーションは、単に新しい設備や壁紙を選ぶことではありません。

  1. なぜ、その空間が欲しいのか(コンセプト)
  2. 何が、それを妨げるのか(制約)
  3. どう、それを伝えるのか(イメージ)
  4. 誰と、それを創るのか(パートナー)

この4つのステップを一つずつ整理し、あなたの「憧れ」を具体的に「言語化」すること。それこそが、リノベーションを成功に導く、最も確実で、最も重要なプロセスです。

OREXでは、沖縄でのリノベーションに関する様々なご相談を承っています。あなたの「憧れ」を形にするお手伝いが必要な際は、お気軽にお声がけください。

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