沖縄のコンクリート爆裂。補修費用の仕組みと変動する4つの要因
【OREXブログ編集部】

沖縄の街を歩いていると、外壁のコンクリートが剥がれ落ち、中の錆びた鉄筋がむき出しになっている建物を見かけることがあります。これは専門用語で「爆裂(ばくれつ)」と呼ばれる現象です。
ご自宅でこの症状を見つけた時、最も気になるのは「補修にいくらかかるのか?」という点でしょう。しかし、インターネットで検索しても、明確な金額が出てこなかったり、業者によって見積もりが大きく異なったりして、戸惑うことが多いかもしれません。
この記事では、沖縄のコンクリート住宅を悩ませる「爆裂」のメカニズムと、なぜ補修費用が一律ではないのか、その価格を決定づける「4つの変動要因」について、専門家の視点から詳しく解説します。
目次
- 沖縄の住宅を襲う「爆裂」とは?
- 補修費用が変動する「4つの要因」
- 「表面だけの補修」が安物買いの銭失いになる理由
1. 沖縄の住宅を襲う「爆裂」とは?
「爆裂」とは、単なるコンクリートのひび割れではありません。建物の骨組みである鉄筋が腐食し、内部からコンクリートを破壊している深刻な状態です。
塩害と湿気が引き起こす鉄筋の膨張

沖縄は海に囲まれており、常に潮風(塩分)にさらされています。
通常、コンクリート内部の鉄筋はアルカリ性のコンクリートによって守られていますが、経年劣化によるひび割れから「塩分」や「水分」が浸入すると、鉄筋が錆び始めます。
鉄は錆びると体積が膨張します。この膨張する力がコンクリートを内側から押し出し、ボロッと剥がれ落ちる現象を引き起こします。これが爆裂です。
放置すると建物の寿命が縮む理由
爆裂を放置すると、露出した鉄筋はさらに雨風にさらされ、腐食が加速します。
最悪の場合、鉄筋が細くなって強度が失われたり、コンクリートの塊が落下して人身事故につながったりする危険性があります。そのため、発見次第、早急な対処が必要です。
2. 補修費用が変動する「4つの要因」
爆裂補修の費用は、「1箇所いくら」と単純に決められるものではありません。以下の4つの要因によって、作業の手間や材料費が大きく変わるからです。
要因1:劣化の「深さ」と鉄筋の状態
見た目の剥がれは小さくても、内部の鉄筋がどこまで錆びているかによって費用は変わります。
- 軽度の場合:表面的な補修で済む場合。
- 重度の場合:鉄筋の裏側までコンクリートを斫り(はつり)取り、鉄筋の錆を完全に除去し、防錆処理を施してから埋め戻す必要があります。鉄筋そのものが痩せ細っている場合は、新しい鉄筋を継ぎ足す工事も必要となり、費用は上がります。
要因2:補修範囲の「広さ」と箇所数

爆裂は一箇所に見えても、実はその周辺のコンクリート内部ですでに空洞化(浮き)が始まっていることがよくあります。
「打診調査」を行うと、見た目以上に補修すべき範囲が広いケースが多く、範囲が広ければ広いほど、左官工事の材料費と人件費が増加します。
要因3:足場の有無(高所作業)
爆裂箇所が手の届く範囲にあれば良いのですが、2階や3階の外壁、あるいはベランダの外側などに発生している場合、安全に作業するための「足場」の設置が必要になります。
足場代は工事費全体の中でも大きな割合を占めるため、補修箇所が高い場所にあるだけで、費用総額は大きく変動します。
要因4:仕上げ塗装のグレード
爆裂をモルタルで埋め戻しただけでは、補修跡が目立ち、防水性もありません。最後に外壁全体(または部分的に)を塗装して仕上げる必要があります。
この時、どのグレードの塗料(シリコン、フッ素、無機など)を使用するかによっても、最終的な費用は変わってきます。
3. 「表面だけの補修」が安物買いの銭失いになる理由
費用を抑えたいからといって、ホームセンターで買ったセメントで穴を埋めるだけのDIYや、安価なだけの補修工事を行うことはお勧めできません。
錆を落とさずに埋めるリスク
爆裂の根本原因は「鉄筋の錆」です。
錆を完全に除去し、防錆剤(サビ止め)を塗布せずに上からモルタルで蓋をしてしまうと、内部で錆の進行が止まらず、数ヶ月もしないうちに再び爆裂してしまいます。
再発を防ぐための正しい工程
プロの爆裂補修は、以下の工程を徹底します。
- 斫り(はつり): 劣化したコンクリートを取り除く。
- ケレン(錆落とし): 鉄筋の錆を徹底的に磨き落とす。
- 防錆処理: 鉄筋に錆止めを塗布する。
- 埋め戻し: 樹脂モルタルなどで成形する。
- 塗装: 防水塗装で保護する。
この手間を惜しまないことが、結果として建物を長く守り、トータルコストを抑えることにつながります。
4. まとめ:正確な費用は「打診調査」から
沖縄のコンクリート爆裂の補修費用は、劣化の深度、範囲、足場の有無、仕上げの方法など、現場の状況によって大きく異なります。
正確な費用を知るためには、単なる見積もり依頼ではなく、専門家による**「打診調査」**を受け、目に見えない内部の劣化状況まで正確に診断してもらうことが不可欠です。
OREXでは、沖縄のRC住宅を知り尽くした専門家が、建物の状態を正しく診断し、一時しのぎではない「長く住み続けるための補修プラン」をご提案しています。外壁のひび割れや剥がれが気になったら、まずはご相談ください。
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